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同人、BLに特化テキストブログ。ネタバレ注意! Persona4・3+Talse of the Abbyss (since:09/01/25)
05 . May
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27 . January

超振動で騒がせてくれたルークをようやく発見した後。
セントビナーの宿に泊まる事となった。
まだ陽は高く、雲は風に流されていく。


無事に見つかってくれて良かったという安堵感に、俺は苦笑してしまう。
ルークが超振動で飛ばされた後、自分の慌てようは我ながら呆れてしまう。
『俺もルークを探しに行かせてください!!』
あの時、他人に任せてはいられない、自分で行かなければ!等という気持ちに駆られていたのだ。
 なんだかなぁ
 それほど俺の生活はルーク中心になってきてるってことか?


「・・・ガイ?おい、聞いてんのかよ」
「あ、悪い。 何だ?」
空の蒼を眺めていたら、後ろで不機嫌な声がした。
「ったく、しっかりしろよな。今から買出しに行くけど、必要なモンあんのかよ?」
ダルそうに、片足に重心を置く斜に構えたルークは、一見チンピラにしか見えない。
このチンピラが貴族であり、次期国王陛下だと誰が分かるのだろう。
居たら是非会ってみたいものだ。
またそんなどうしようもない事を考えていると、気が短いルークは余計に声を尖らせた。
「だぁ!もうウゼェ!!早くしろよ、遅くなっちまうだろ?!・・・いいや、お前も一緒に来い!」
そう言うなり、俺の腕を引っ掴み部屋を後にしようとする。
「ちょっ!!待てルーク!」
「んだよ」
「他のメンバーにはもう聞いたのか?」
「とっくに済んでるっつーの」
「そ、そうか」
止めた足をまた前へと進める。
ルークは俺の腕を掴んだまま、宿を後にした。


 え?買出しって二人だけで行くのか?!
 ティアも一緒に行くと思っていたのに。
「ルーク」
「何だよ」
ずんずん街中を進んで行く。
俺の腕を握ったまま。
「・・・買い物の仕方、知ってるのか?」

ルークに教えていないことは沢山あった。
外の世界へ出るには少なくともあと2年はある筈だった。
いきなり外の世界に放り出されるとは誰が思うだろうか。

俺の問にルークは声を荒げた。
「知ってるっつーの!」
・・・多分、ティア辺りに教わったのだろう。
まともな知識を身に付けさせなかったのは俺に非がある。
だが、ティアが屋敷に侵入して来なければこんな事にはならなかったのに。
 ああ、駄目だ。
これから一緒に旅をする仲間を敵に回しちゃいけない。
セントビナーに入った時、既に腕を絡められて精神的大ダメージを喰らった俺だ。
ティアはしばらく鬼門になるだろうな。

そんなどうでも良い事を考えてる内に、どうやら薬屋に着いたようだ。
ルークは手を放し、店内を物色し始めた。
その後姿は、屋敷に居た頃とは違った。
まだ全然未熟だが、少し大きくなった気がする。
身長等の外見では無く、内に秘めた何かが。
長年、ルークの世話係をしてきた俺には、彼の些細な変化も分かるようになった。
きっとこの旅で、ルークはまた大きく成長していくのだろう。
そう考えた時、顔をしかめた。
あの時の、昔の約束を思い出す。

20歳になったら、一緒に旅に出て世界を見て回ると。


『ガイ、大きくなったら旅に出る。・・・お前も一緒に来てくれるよな?』
寝る前に、本を読み聞かせていると、いきなりルークは決心したように言った
窓の向こうにある、星空を見上げて
 俺も一緒に?
嬉しかった
だが同時に罪の意識に駆られた
 いつか お前を殺すかもしれない俺も?
『・・・・・・』
黙った俺に、ルークは顔を覗き込んできた
今にも泣きそうな不安な顔をして
『 ダメ?』
『良いですよルーク様、ただし』
『?』
『この前にした賭けに勝ったらです』
『オレが立派に成長したらってヤツ?・・・絶対勝ってやる!だから、絶対行こうな!』
罪悪感を胸に焼き付けた笑顔は今も忘れられない
それからというもの、二人でよく空を眺めた
 空への羨望を抱きながら

 今、お前はきっとこの約束すら覚えて無いんだろうな
世界は広い
憧れていた世界にようやく飛び出せたんだ、些細な事は忘れたに違いない
現に、賭けをもう忘れてしまっている
俺が決死の思いで縋った、俺とお前の未来を賭けた事すらも
 早く思い出してくれルーク
 二人を繋ぐ賭けを


「ガイ!」
「?!」
「・・・何でそんなに顔しかめてんだよ?」
「何でも無いさ。もう済んだのか」
「ああ。行こうぜ」
そう言ったルークは、また俺の腕を掴み歩き出した。
空を仰いだルークに、聞かずにはいられなかった。
「外の世界はどうだ?」
「何だよいきなり。ガイ、今日は少しオカシイぜ?」
「そんな事無いさ。ホラ、良いから答えろよ」
「・・・まだ色んな事が多すぎてよく分かんねーけど」
「けど?」
振り返り、眩しい笑顔で笑った。
「楽しい!」
「・・・そうか」
今度は二人で空を仰ぐ。


 もう、知らないでは済まされないだろう
 俺だけの存在で居て欲しかった 籠の中の鳥を
 他の誰かが鍵を開け 空に放してしまった
 広く 深い空は 鳥を受け入れる
 羨望していた空は 今は少し 遠すぎた

空を拒む

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中学1年に好きしょと出会い、こっちの道へ。腐れ歴約10年。最近ライトノベルの鳥籠荘にハマり中。
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